吸い殻とマズローの自己実現理論を思う、ついでに自己紹介。

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無益なものだけを載せていこうと思っています──

玉石混淆な情報たちが、みんな、有益な顔をして双眸に飛び込んできます。

「選別しなさい」「真贋を見極めなさい」

というのがもはや時代の常套句ですが、そう口にする選別マスターの二の句にもまた真贋不明な“有益な顔”をしているものです。

だからこそ僕は“有益な顔”ばかりが僕達を覗く世界に一石を投じるべく、無益な顔をして実際無益なことだけを、ここに載せていこうと思っています。

といえば聞こえはいいですが、要は僕に、世のため人のために役立つことなんか書けないということです。

「自分のためにすることが、まわりまわって結果的に世のため人のためになってればいいんじゃね?」

という、ひとことで言えば、漫然と生きていたい人間なので、僕。

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有益な顔なんてしていない僕。

朝、歯を磨こうと鏡の前で「今日も有益でない不細工な顔してんなあ」

と毎日、泡立った歯茎を剥き出しにした自分と向き合い自分自身を全否定。そりゃあ顔に有益なモノなんか宿りませんよ。

有益な顔が駄目なら有益な仮面にしようと思っても、それを作るための材料を買うのも生地を縫うのも面倒ですしね。

《まずは付け焼き刃の自家製仮面をかぶり、だけど最初は継ぎ接ぎだらけで無益な素顔が丸見えで……》

《なら、それが隠れる精度のいい新しい仮面を次は作ろうと、本を読んでネットで検索して、僕の手の動きに柔軟に対応してくれるミシンを導入して作業を繰り返そう

《そうすればいつか、剥がされようにも一本の糸も切れない頑丈な仮面ができあがる!

《さあ、その有益な仮面で無益な自分を覆い隠そうと鏡を見ると……あれ?

《いつの間にか、自分の顔が有益な顔になってる!》

《なぜって無益を隠そうと始めた学習と努力がいつの間にか自分にとっての有益な蓄積となってたから!》

《これから仮面作りに取りかかる人には有益過ぎる仮面の作り方を一から十まで伝授できるまでに成長したから──!》

そういうのは、みなさんがやってください。

僕は、無益なことだけを書いていこうと思っています──

吸い殻 階段

このブログがまだ立ち上がっていないとき。夜の駐車場に止めた車に乗りながら、ブログの企画者Pと、それの名前を考えているときでした。

プールサイドでくつろぐときのように運転席のシートを倒してハンドルの向こう側に足を投げるP。

彼の口の先で煙草が上下に揺れ、副流煙がPの顔に半透明の幕を覆ったのち、窓の外へと優雅に泳いでいきます。
アブラハム・マズローというアメリカの心理学者は“自己実現理論”の中で、人間には、根底にある方から、

生理的な欲求” → “安全への欲求” → “人とのつながりや所属への欲求” → “人に認められたい欲求” → “自己実現や創造への欲求

という順に積まれた五段階のピラミッドが存在するという説を提唱した。

というようなことが“ロングテール”という説を提唱した、クリス・アンダーソンの本に書いてありました。

ロングテール‐「売れない商品」を宝の山に変える新戦略 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫) igagraphy 似顔絵

※あっ! 以下に記すことは、“自己実現理論”からアイデアを得た僕のファンシーに富んだ曲解ですので。

本当にマズローが説いたことをご存知になりたい方は、

マズローの欲求5段階説ーモチベーション↑アップの法則

に飛んでください。

ちなみに、クリス・アンダーソンの本にご興味がある方は、

クリス・アンダーソンの『FREE(フリー)』が必読である理由ーしっきーのブログ

に飛んでください。

さっきの仮面の話をマズローの理論に照らし合わすと、仮面作りが自己実現という欲求の創造であり、

もし作り方を誰かに伝授すればそこから、認められたい、つながりたい、が叶うかもしれません。僕はしませんけどね。

マズロー理論に基づけば、食べ物や飲み物と同様に、煙を内蔵の奥底にまで沁み渡らせようとする、そんなPの生理的欲求を煙草が満たし、

煙が満たしてくれるとPに期待された煙草は、認められたい欲求を満たしながら、己に付された燃えるという命を実現させ、煙を創造させるのです。

身体的な観点に立てば百害あって一利なしですが、合理的には計れない、安らぎという一利をPは求め、求められたから煙草は燃えています。

Pの欲を満たすため、煙草は己の命を欲ともに燃やします。無益から有益を見出されたなら、その命には有益性があります。

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「じゃあ、吸い殻にしよう」と僕は言いました。「吸い殻みたいなブログ

全くもって無益であるはずの煙草も、その人には肌身離せぬほどに有益なモノ、だったはずです。

しかし、命を賭してまで承認と創造の実現への欲求に負けた煙草に訪れる運命とは数奇なもので、
欲を求め終えた途端喫煙者は、すぐさまシャワーを浴びにいくかのごとく、燃やした核なる部分をも灰皿という墓場の石で捻り潰します。

「もうお前に有益性はない」「俺の欲求も満たせない」と、捻り潰され終わりを告げられた煙草は“吸い殻”と罵られ、墓石の底に沈められます。

創造も承諾も、つながりも、生理も自己すらもない、マズローもへったくれもない、吸い殻……

「……シガグラフィー、ってのはどうよ?」

と英和辞書アプリに表示された“吸い殻→sigarette end”を見ながらPが僕に尋ねました。

「“シガレットエンド”と、文章と一緒にブログに載せる“フォトグラフィー”を合わせて“cigagraphy”だ」

駐車場の街灯が白い煙とフロントガラスに屈折して、気ままに揺れる影を運転席に落としていましたが、
今は彼の顔が鮮明に映えます。一本分の欲求を満たしたようです──

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──という全くもって無益な前置き、そして煙草を擬人化させてまで、
喫煙とマズローの自己実現理論をこじつけようとする無益かつ無駄にファンシーな解釈を読ませてしまい、全くもった無益とコストを差し上げてしまいました。

大阪府の北の方、いわゆる“北摂”と呼ばれる地域のとある街で、一日三食不自由のない実家暮らしにぼんやりと興じ、その実家でパソコンと複合機と電話機があれば可能な事務をぼけっと処理する。

疲れたらすぐ脇のベッドで夢うつつと微睡み、プロレスと通販番組をまんじりと眺め、文庫本を両手にゆっくりとページをめくる。そんな僕。

そして、家にこもって固まった体を、外に出て歩きながら或いはクロスバイクに乗りながらもっさりとほぐす。そのとき目に留まった風景を画像に収め、道中で見つけたカフェに入りコーヒーをちびちびと啜ってお洒落ぶる。

そんな僕の日常を文章にしてここに記し、写真にしてここに載せていきます。もちろん、全くもって無益な。

ちなみに、無益なプロフィールを今回は大まかに。詳細は次回以降に書いていきます。

無益な情報をさらに薄めてお伝えするそのさまは、水で割って注がれるカラオケボックスのソフトドリンクのようでしょ。

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僕は煙草を吸いません。吸おうと思えるほどの有益性を感じないので。でも煙草を吸う人達がいます。どこかに有益性を感じるからでしょう。

一本吸い終えたPはダッシュボードに備えつけの灰皿に、吸い終えたその一本を捨てました。

ほんの少し前までは有益だった、有益性を見出されては輝くように燃えていた煙草も吸い殻と化せば、絶対的に無益です。

その絶対的に無益な吸い殻も、灰皿に捨てられるのならまだいい方です。

僕が載せる文章と写真は、灰皿という墓場にも収められず、欲求だらけでモラル無き輩にポイと道端に遺棄され雨風に晒され、獲物を巣に持ち帰る蟻にされ邪険にされる
究極に数奇で無益な運命を辿る吸い殻です。

しかし。しかしそれでも、そんな絶対的に無益な吸い殻に、しかしそれでもどこかに有益なモノをお感じになってくれる方が、もしこの世の中にいてくだされば。

無益なブログに有益なモノをお感じになって頂ければ、このブログは、結局なんだかんだ有益だと認められたい欲求を、
地に墜ちた吸い殻を照らす夕陽のように、眩しくオレンジに燃やすことでしょう──。
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