聖夜に読みたい!クリスマスが舞台の小説4選。

小説 クリスマス シガグラフィー cigagraphy

 

 

12月も下旬に差しかかろうというタイミングに、この記事を載せました。クリスマス直前です。

皆さんはクリスマスを、誰とどのように過ごしますか?

 

クリスマス pixabay シガグラフィー cigagraphy

 

夜景の綺麗なお店で恋人と。自宅に招いた友人と。職場で隣り合う同僚と。
家族と豪勢な料理を囲んで。礼拝に来た人達とイエス様を前にして。
イベント会場で知った誰かと見知らぬ大勢とで盛り上がったり。──

 

風習、環境、雰囲気、脅迫観念など色々ありながらも、やはり世界的に、誰かと時間を共有したくなる、クリスマスという日。

 

 

いやいや今年は、あるいは今年も、クリスマスというのは一人の時間を大切にする日、という方、あるいはそうなるかもしれない方、も沢山いると思います

厳密に言うと、まだ予定が決まっていないから、一人の時間を大切にできそう、という皆さんも、
一人の時間を大切にする日と決まっているけど、まだ予定が決まっていない、という皆さんも、

はたまた、体調を崩して安静にクリスマスを過ごす必要がある、という皆さんもいらっしゃるかもしれません。

 

クリスマス pixabay シガグラフィー cigagraphy

 

もし決まっていない予定、一人の時間を大切にする方法が決まっていない方、
自宅で病院で、一人の時間を大切に大切に過ごす事が決まっている方に、

当ブログの筆者の僕がご提案する、最終手段としての、クリスマスの過ごし方

本、という予定、小説を読むという方法をご提案します。

 

pixabay シガグラフィー cigagraphy

 

もちろん、皆さんが気になっている小説、読みかけのままにしている小説以外の書籍を読み終わらせて頂いてもいいのですが、

読む本が思いつかない、という皆さんへ、僕が小説を4冊ほど
僕個人の解釈で僕なりに考えた、その本その物語のあらすじを記しながら、ご紹介していきます

 

 

読書初心者の皆さんの苦痛にならない為にも、分厚くない本、ササっと読みやすい本を

せっかくクリスマス直前ということで、クリスマスの日が舞台の小説を

 

小説 クリスマス シガグラフィー cigagraphy

 

目次


①:聖なる夜に君は
奥田英朗 角田光代 大崎善生 島本理生 盛田隆二 蓮見圭一(角川文庫)


②:クリスマス・キャロル
ディケンズ 著 村岡花子 訳(新潮文庫)


②:ティファニーで朝食を
カポーティ 著 村上春樹 訳(新潮文庫)


④:世界で一番のクリスマス
石井光太(文藝春秋)


まとめ

 

 

①:聖なる夜に君は
奥田英朗 角田光代 大崎善生 島本理生 盛田隆二 蓮見圭一
(角川文庫)

 

聖なる夜に君は (角川文庫)

174ページ 定価438円(税抜)

 

大ヒットした映画『八日目の蝉』(角田さん)
松山ケンイチさん、東出昌大さんが出演した『聖の青春』(大崎さん)
有村架純さん、松本潤さん出演の『ナタラージュ』(島本さん)
フジテレビでアニメ化された『空中ブランコ』(奥田さん)

 

これらの話題作の原作を書いている人気作家さん6人が
この国のどこかで、クリスマスという日の中で日常を過ごす人々、彼ら彼女達の心模様を描いた短編、そのアンソロジーであります。

 

6つの物語の中で、僕が一番好きなのは、角田光代さんの『クラスメイト』です。

 

離婚すると決めた以上、私も征生も、淡々と縁を切る為の作業をこなしていた。
まさに今も、私は荷造りをしていて、隣の部屋では征生も部屋を出る準備と、新しい恋人との生活の準備をしているのだろう。

旦那の浮気をすんなり受け入れ、別れを自動的に同意したわけでは、勿論ない。
征生から浮気相手のことを聞けば聞くほど、私とはタイプが違うし、若い以外、私に勝るところがその女にあるとは思えなかった…。

だから、私が受け入れ同意する条件を、征生にひとつ出した。
それは、征生が私を愛していた事実を征生に残される為、私へのラブレターを書く事──。

 

 

それぞれの毎日をそれぞれの愛する人(愛した人)と過ごす、6人の主人公たち。
少しずつ増す関係性の揺らぎ。募る不安が気付けば抑えられなくなっていた頃、迎えたクリスマスの日。

皆がそのカタカナ5文字を少なからず意識せざるを得ない、何かを思い出さざるを得ない日に、
誰かを想い、誰かを想う自分に示す、ささやかな決意

 

 

今すれ違った人、隣の席に座っている人、いや自分自身も、この本と似たような経験してるんじゃないか、同じような日を過ごしたなあ、と

現実性に沿った、生々しくも心地良い共感を、ダイレクトに味わえるかもしれない短編集です

 

聖なる夜に君は 角川文庫 奥田英朗 角田光代 大崎善生 島本理生 盛田隆二 蓮見圭一 小説 短編 アンソロジー シガグラフィー cigagraphy

 

『クラスメイト』の主人公の「私」の心理描写は特に生々しくて僕は好きでした

 

あと、蓮見圭一さんの『ハッピークリスマス、ヨーコ』も良かったです
相手に語りかけるスタイルの文章、という新鮮さを感じながら読み進められます。

さらに時系列を追って語られるので頭にスッと入ってきますし、その時系列を追うごとに心がポカポカしてくる短編でした。

 

『聖なる夜に君は』は現在、古書のみが流通している状況のようなので、
Amazonのマーケットプレイスや、お近くの古本屋さん等でお求めください。

 

 

②:クリスマス・キャロル
ディケンズ 著 村岡花子 訳 (新潮文庫)

 

クリスマス・キャロル (新潮文庫)

189ページ 定価430円(税抜)

 

 

19世紀に活躍したイギリスの作家、チャールズ・ディケンズの作品で間違いなく一番有名なのがこれでしょう。
ジム・キャリー主演でディズニー映画にもなっていますし。

 

 

日本人にとって、より馴染み深いのは、翻訳した村岡花子の方かもしれません。

2014年にNHKで『花子とアンという朝ドラが放送されていましたが、
主演の吉高由里子さんが演じていたのが、村岡花子でした。

 

モンゴメリの『赤毛のアンの翻訳者として有名な花子。実はクリスマス・キャロルも訳しています

 

ロンドンの街には深い霧と、祝いの言葉を交わしながら翌日の準備に追われる人々の活気に溢れていた。今日はクリスマス・イブ。
その特別な日の意味を全く理解できないスクルージ。

メリークリスマスの挨拶を、一日だけでも有給を取りたい部下からの願いを、貧しい人々に寒さをしのいでもらう為のカンパを、皮肉たっぷりに罵倒し、一蹴するスクルージ。
別にクリスマスにトラウマがあるわけでもない。彼はいつもこんな感じなのだ。

そんな彼の前に現れた、かつての共同経営者で、7年前に死んだマーレイ、の幽霊。
マーレイは予告した。これから3人の亡霊がやってくる。スクルージに「チャンス」を与える為に──。

 

 

人生訓を教える系統の童話って、主人公が結構ヒドい目に遭うものが多いですが、
クリスマス・キャロルもまさにそうで、

人の気持ちを理解しようともしないどころか、手を差し伸べようともしない
皆さんの周りにも一人くらいはいる、ザ・反面教師な存在のスクルージ。

 

そんな彼にクリスマスの大切さを叩きこむ事で改心させようと、
亡霊たちによるスパルタ教育がなされる、というのが物語の内容
です。

 

 

なんですが、最後、スクルージは最高のハッピーエンドを迎え
痛めつけられるスクルージを本の外から見せつけられた読者も、改心していくスクルージの姿に考えさせられ、その結末に救われるのです。

 

村岡花子 クリスマス・キャロル 小説 ディケンズ 新潮文庫 シガグラフィー cigagraphy

そして、村岡花子の翻訳です。
言い回しが現代風ではなく、漢字も多用されているので、正直読者初心者の方には読みづらいと思います。

 

ただ、今を生きる僕たちには無いボキャブラリーの引き出し、それをバンバン開けた花子が綴る婉曲的な表現は、
本好きには一周回って新鮮に感じられるのではないでしょうか。

 

 

③:ティファニーで朝食を
カポーティ 著 村上春樹 訳(新潮文庫)

 

ティファニーで朝食を (新潮文庫)

282ページ 定価590円(税抜)

 

 

トルーマン・カポーティは、20世紀のアメリカ文学を代表する作家で、
『冷血』という作品も有名です。

新潮文庫から出ているこの本には、4つの物語が掲載されていまして、
ティファニーで朝食を』は、オードリー・ヘップバーンの映画等で、日本でもよく知られていますよね

 

 

映画を観た事ないけど、なんとなくストーリーは知っている、という方も多いと思います。
そんな表題作の話も後ほど触れますが、

ご紹介したいのは、この本に収録されている『クリスマスの思い出』です。

 

僕が物心つく前から、僕は親友と一緒に暮らしている。本当は遠い親戚なんだけど一緒に暮らしているし、僕は7歳で親友は60歳を超えているけど、親友同士なんだ。

僕と親友にとってのクリスマスは毎年、親友がフルーツケーキ作りを家中に宣言する事で始まる。僕以外の家の人間は、その宣言に今年も冷ややかだけど、関係ない。
ペットのクイーニーに味見させながら果物を仕込んで、クリスマスに向けて貯めてきた小銭を財布に詰め込み材料のウイスキーを買いに行く。

出来上がった30個のフルーツケーキを誰に届けようか。去年この町に来た牧師夫妻? 家の前を通るバスの運転手? ルーズベルト大統領にも送ろうか!──

 

 

同居している親戚たちが呆れ返るほど、やんちゃでハチャメチャな7歳の「僕」と「僕」に負けず劣らずハチャメチャな、還暦を越えた親友。そんな無邪気で困った2人組が、

店へ出かけ、川を渡り、森を分け入り、台所をケーキで埋め、暖炉の前で踊り、布団で明日の予定を話し合う…。

 

こども心をくすぐる沢山のイベントを、対等な立場で共有してくれる親友との、1ヶ月余り

 

その軌跡が、温かい幸せとして、30ページ弱の紙幅から溢れてきます
具体的に言うと、235ページから260ページにかけて、です。

 

村上春樹 ティファニーで朝食を カポーティ 小説 オードリー・ヘップバーン シガグラフィー cigagraphy

 

そして、表題作の『ティファニーで朝食を』なんですが、観た事はなくてもなんとなく知っている、その映画のストーリー
とはまた違う原作の内容に、読んで驚かされます

えっ?! オードリー・ヘップバーンって原作ではこんななのっ?!
と、軽く衝撃を受け、続きをどんどん読みたくなってきます

 

 

そして、翻訳しているのは、ご存知、村上春樹さんです。
この本における春樹さんは翻訳係ですから、あくまで原作に忠実な日本語を表現されているのでしょうが、

端々に見受けられるキザっぽい言い回しに、春樹ワールドを感じられるかもしれません。

 

 

④:世界で一番のクリスマス
石井光太(文藝春秋)

 

世界で一番のクリスマス (文春e-book)

289ページ 定価1500円(税抜)

 

 

ルポライターとして国内国外問わず、赴いた現地の事実と真実を伝えてきた石井さん。
石井さんの筆の被写体は、表向きのメディアが伝える表向きの情報、から零れ落ちる場所と人々

 

たとえば、テレビや新聞が(自主規制という理由で)伝えられなかった、3.11直後の遺体安置所に眠る人々と彼ら彼女達を探す遺族を照らした、
『遺体』という書籍は、西田敏行さん主演で映画化もされました。

 

 

世界で一番のクリスマス』は、取り分け男性が多く踏み入れる世界、その舞台裏にて重ねた取材を基に石井さんが描いた、
光に包まれ影に覆われ、華麗にひっそりと咲く花たちに捧げるフィクション

ですが、全編通じてルポルタージュ風に書かれていて、情報を伝える事を優先とした簡潔な文章がとても読みやすいです

 

本当に久しぶりに、沙羅はこのパブを訪ねた。フィリピンの香りが施された店内で、
常連客と、片言の女性店員たちが、クリスマスを盛大に祝っている。目の前の光景は、蘇ってきた記憶を重ねても変わらず息づいていた。

ただ、この店に来た理由、会いたい人は今、席を外しているようだ。肝心な時、どこかに行ってたりする習性は昔からだった。
まあ何も言わずに来たから仕方ない。それに、ずっとその人を避けて生きてきたし。

でも、やっぱり会いたい。多分会うのは最後になる、だからこそここに戻ってきた。壁に貼られた姉のポスターを眺め、沙羅は決意を胸に秘める。
かつて姉は「アン」と呼ばれていた。今もそう呼ばれ、この店を盛り上げている事だろう──。

 

 

この本の表紙を飾る麻美ゆまさんの体験談を聞き、石井さんが創作した表題作
恵まれない家庭環境の中を強く生きてきた姉。道を駆け抜けていく姉の轍に足を取られ、振り回される人生を重ねる事となった妹。

 

壮絶な半生を送った姉妹が、手を取り、離れ、そして再会を果たすとき、
2人のもとにやって来た、世界で一番のクリスマス、という物語
です。

 

世界で一番のクリスマス 小説 文藝春秋 石井光太 cigagraphy シガグラフィー

 

他に、僕が好きだったお話は『午前零時の同窓会』です。

 

美優は誠一の同級生で、付き合ってもいたが、事件に巻き込まれて大怪我を負った高校の頃以降の消息は知らない。
その美優から電話がかかってきた。誠一個人の番号ではなく、誠一がホストとして働いているデートクラブの番号に…。

 

変わり果てた、でも、変わっていなかった美優と誠一が過ごす、上野での夜の話、
誠一と会う日が、いかに美優にとっての大切な日であるかを、言動一つひとつで示す美優に心打たれました

 

 

まとめ

 

 

以上、クリスマスにまつわる、4冊の本をご紹介しました。4冊とも、ジャンルは小説でございます。

 

改めて、それぞれの本の大前提にある設定をご紹介しますと、

 

聖なる夜に君は 角川文庫 奥田英朗 角田光代 大崎善生 島本理生 盛田隆二 蓮見圭一 小説 短編 アンソロジー シガグラフィー cigagraphy

聖なる夜に君は』は、
とある現代の日本人が、それぞれの愛する人、愛した人との日々を経て迎えたクリスマス、の話ですので、

多少のリア充感が小説の中に広がっています
かつて、今まさに、似たような経験をされた皆さんには現実的な共感を。

 

そういう経験をされてない皆さんには「ケッ!」って思わせるかもしれません。
特に盛田隆二さんの『ふたりのルール』あたりは「アアァァァッ!!ってなるかもしれませんので、

その辺を踏まえて、取り分けクリスマスを過ごす際のお供として、お手に取ってみてください。

 

 

村上春樹 ティファニーで朝食を カポーティ 小説 オードリー・ヘップバーン シガグラフィー cigagraphy 村岡花子 クリスマス・キャロル 小説 ディケンズ 新潮文庫 シガグラフィー cigagraphy

クリスマス・キャロル』と『クリスマスの思い出(ティファニーで朝食を に収録)』は、

クリスマスを親族で祝い、料理を囲んで、というキリスト教圏の文化に習ってその日を過ごす人達の話、
つまりガチなクリスマスですので、我々には抵抗感なくストーリーが入ってくると思います。

しかも海外文学で、しかも古典文学なので、
読むとオシャレ感、インテリ感を装備できたような気になりますよ。

 

 

世界で一番のクリスマス 小説 文藝春秋 石井光太 cigagraphy シガグラフィー

世界で一番のクリスマス』は、
男たちは知らない華々しい舞台の裏で、主人公たちが独りで抱え続ける過去と現在を読む事で

誰しもが幸せになっていいはずで、誰しもが優しさに包まれるべきだと、

 

心が温かくなるし、温かくさせたくなる、そんな本です。
僕個人的には世界で一番のクリスマスが、一人のクリスマス用に一番オススメします。

 

pixabay シガグラフィー cigagraphy

 

本を読むときは、一人。でも、ひとりじゃない。開いたページに躍る活字の中には色んな人がいるのだから。自分とは別世界にいる人もいれば、どこか自分と似ている、自分を重ねる事のできる人がいるのだから─。

集中力の続く限り、じっくりじっくり時間を埋め続ける事のできる利点もそこに加わって、
だからこそ、大切にする一人の時間のお供に。

 

まだ予定が決まっていない、来年に向けてゆっくりと過ごさねばならい、今年のクリスマスの最終手段として。
開いた本の中から、暑さを少しでも忘れさせてくれる季節で生きる主人公たちが、皆さんに涼しさと温もりを与えてくれます。

よろしければ、読んでみてください。

 

 

 

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